二世帯住宅とデザイン

注文住宅の新築にあたっては、二世帯住宅というプランニングをすることも考えるのがよいといえます。二世帯住宅の場合、これから高齢となっていく親世帯は、介護をはじめとして、子世帯の近くで生活するというのはなにかとメリットが大きいものです。また、子世帯のほうでも、特に幼稚園や小学校といった児童を抱えている場合に、仕事の関係で面倒がみられないときに親世帯に託するということも可能であるため、やはりメリットがあるといえます。
二世帯住宅のプランの種類はさまざまなものが考えられますが、ふたつの世帯の間の関係性をどのようにとるのかによって、完全に世帯を分離するプランから、ほとんど同居に近いプランまでがあり得るといえます。しかし、注意しなければならないのが、親世帯、子世帯はやはり価値観などもまったく異なることが見込まれるため、デザインや間取りはあまりにも統一感がありすぎるものにするよりも、むしろそれぞれの世帯の感性にあったものとしたほうがよいということです。もちろん、建材のデザインなどが統一できたほうが、費用的にはより安価にすむ可能性があるわけですが、後々の生活のことを考えれば、安易にそうはいえないという事情もあるものです。注文住宅として新築する場合は、こうした部分も施主の希望によって比較的自由に決めることができるわけですから、そうした特色を生かした設計をすべきものといえるでしょう。
たとえば、親世帯のほうは、和室をとりいれたり、あるいは洋間であっても畳コーナーをもうけるなどして、落ち着いた雰囲気のデザインにするいっぽうで、子世帯のほうのフロアは、フローリングなどを多用した洋間にするといった手段があります。二世帯住宅とはいってもひとつの建物ですので、外観については統一する必要があるかもしれませんが、内装のデザインや間取りについては、ある程度は自由が利くものです。
注文住宅の場合には、なにもかもが自由にプランニングできますので、かえってデザインについても手本とするものがなくて困ってしまうこともあるでしょう。そうした場合は、既成の建売住宅における二世帯住宅のプランを施行会社などから見せてもらってアイデアを得るための参考にしたり、希望する最低限の条件を提示して設計者と話し合いをしたりといったことも有益であるといえます。こうしたデザインは一気にすべて決めてしまうというよりも、プランをいくつか出して調整をしながら試行錯誤して形にするのが望ましいともいえます。